コンピューターとエンビツ

昔、大学に行ってたころ、僕は使いやすいコンピューターというのを研究してた。僕が配属された講座はデータベースに関するところだったのだが、そういうテーマの一環として、データベースのユーザーインターフェースを作ることを目指したのだった。つねづね、コンピューターはデータベースとしての使い方がもっとも便利に使えると思っていたので、僕は、けっこう念入りに研究に励んだものだった。

データベースは今もいろいろな会社が、しかも、有名どころというか、データベースに関する老舗の会社と

言うのがある。データの蓄積と検索。その効用の恩恵を一番得られるのがコンピューターと言うわけである。コンピューターで扱うのはすべてがデータで、プログラムさえもデータとして扱える、という考えのもとオブジェクト指向データベースというのも、そのころのはやりというか流れの中で、結構扱われていた。

結局、何かを書くと言うことに関しては、コンピューターは紙と鉛筆を越えられないと言うのが僕の結論みたいなものだった。結局たとえば、文章を速く書くにはキーボードに慣れなければいけないし、柔軟な図や絵を入れて書くには真っ白な紙に鉛筆という組み合わせ以上のことはできないわけだ。そのころ、引き合いに出してたのが、アラン・ケイが提唱していたダイナブックである。

万能ノートとも言うべきその構想は、コンピューターを使いやすくするためにいろいろな案が盛り込まれていた。

だが、結局、プログラムを組むにはプログラムの知識が必要だし、コンピューターでほかの事をするにはその対象の知識がいるわけである。コンピューターはそれをデジタル化したものを純粋に数字として処理するわけである。

今も、いろいろ出ている、タッチパネルや、そう、おなじみのマウスなんかもコンピューターを使いやすくするこころみのひとつである。ご存知のようにマウスはかなりの市民権を獲得し、いまや当たり前の入力デバイスとなった感はある。

結局鉛筆と紙を越えられるものは生まれなかったが結局、鉛筆と紙には鉛筆と紙の利点。タッチパネルやマウスはそれなりの利点。というように、使っていくしかないわけだ。